宇宙環境の持続的利用のための
樹脂人工衛星構体の開発
持続可能な宇宙利用推進
近年、宇宙開発の加速とともにスペースデブリ問題が深刻化しています。
特に、役目を終えた人工衛星や故障した機体が軌道上に留まり続け、他の衛星との衝突リスクを高めていいます。また、大型衛星が大気圏再突入時に完全燃焼せず、地上への落下リスクも懸念されます。従来の金属製構体は耐久性が高い一方、デブリ衝突時の破片発生や燃え残りの問題を抱えています。
一方、日本国内では竹害問題が深刻化しており、放置竹林の増加が環境・農業に悪影響を与えています。私たちはこれまで竹害の削減のため、竹に付加価値を付けることで伐採を促すしくみを模索してきました。
これらの課題を同時に解決するために、竹由来のセルロースナノファイバー(CNF)を活用した人工衛星用樹脂構体の開始しました。
本プロジェクトでは、持続可能な宇宙利用を推進し、環境負荷低減と日本の宇宙産業競争力の向上を目指します。

開発ポイント
1.CNF樹脂構体の採用によるデブリ問題の軽減
・CNFを活用した樹脂構体は大気圏再突入時に完全燃焼しやすく、燃え残りリスクを低減。
・樹脂構体は衝撃吸収性に優れ、デブリ衝突時の破片発生を抑制する。
2.高強度・耐放射線のCNF複合材の開発
・CFRPやスーパーエンプラとの複合化により、従来の金属構体と同等の強度を確保。
・低熱膨張・耐放射線特性を持つ新素材を開発し、宇宙環境での信頼性を向上。
3.宇宙・産業市場でのCNF活用促進
・3Dプリント技術を活用し、人工衛星だけでなく、ドローンや航空機部品への展開を進める。
・政府のESG政策と連携し、日本の宇宙産業を持続可能なものへと進化させる。
プロジェクト推進メンバー
- 西野 有 /専務取締役 最高技術責任者
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プロジェクト・宇宙機用機器開発担当
工学博士(カリフォルニア大学)
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㈱三菱電機(1991-2017)|高周波回路/デバイス、アンテナ、衛星開発(レーダー、放送、通信、測位)、プロジェクトマネージャー(測位)
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(1996-1999)|高周波回路、AI(遺伝的アルゴリズム)、OR
㈱シンスペクティブ(2018-2019)|合成開口レーダー搭載小型衛星
ナスクナノテクノロジー㈱(2018-現在)|光触媒ナノ粒子を用いた抗ウイルスコーティング、ナノ粒子透明導電シート
東北大学(2022-現在)|次世代衛星通信方式(NICT国プロ)
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【開発した衛星】
・レーダー衛星…だいち2号、ASNARO-2、他
・気象衛星…ひまわり8・9号
・通信/放送衛星…トルコサット4A・4B、エスヘール2他
・測位衛星…みちびき2・3・4号、初号機後継機

- 池端 正一 /技術顧問
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CNF複合材開発担当
工学博士(金沢大学)
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大和ハウス工業(1976-2022)生産部品設計グループ長、総合技術研究所副所長、フロンティア技術研究室長、理事 未来価値共創センター長
JST「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」プロジェクトリーダー
金沢工業大学革新複合材料研究開発センター(2022-現在) 客員教授
