配合成分すべてがシングルナノサイズ
新しい抗ウイルスコーティング(特許第6676659)
メディカルナノコートの
テクノロジー
メディカルナノコートは可視光応答型の光触媒作用に加え、複合無機素材により暗所でも高い抗ウィルス・抗菌効果を発揮します。
様々な材料への加工が可能、幅広い用途にご活用いただけます。透明で超薄膜コーティングなので被塗物の意匠性を損ないません。
配合成分すべてがシングルナノサイズ
新しい抗ウイルスコーティング(特許第6676659)
ウイルスに対して効果を発揮するために、わたしたちは、まずナノ材料によるコーティングの開発に着手しました。開発当初、材料の最小サイズは数10ナノメートルが限界でしたが、その後の日本のナノテクノロジーの進歩は目覚ましく、現在のメディカルナノコートでは、配合された成分の全てが10ナノメートル未満のシングルナノサイズからなっています。
これらの各成分が塗布すると、均一に分散してお互い5結晶構造を取りながらしっかりと結びつき、塗布対象の表面の目に見えない凹凸に入りこみながら、堅牢な薄膜のコーティングを形成します。
酸化タングステンを採用した理由
酸化チタンとの違い
従来の酸化チタンによる光触媒ですと、紫外線のみまたは、可視光応答型光触媒であっても紫外線にきわめて近い領域の光でのみ光触媒反応をおこすため、屋外での使用には向いていますが、感染対策の現場である現代の室内環境では、紫外線が少なく不向きでした。
メディカルナノコートは可視光で効果を発揮する触媒酸化タングステンを配合しており、日光や蛍光灯の光はもちろんのこと、紫外線の出ないLED照明や、照度が500Lux以下のホテルのロビーやオフィスといった室内環境でもコンスタントに効果を発揮します。
また、映画館や劇場といった全くの暗所でも、プラチナ、セレン等の抗ウイルス抗菌性能により効果を発揮します。
そのほか、通常の光触媒コーティングは表面にチリ、ホコリを吸着しやすく、これにより分解機能を妨げる例が見られましたが、メディカルナノコートは、導電性、帯電防止などの機能を付加することにより、分解機能を効率的に使いウイルスや細菌を減らすことができます。
ウイルス不活化のメカニズム
メディカルナノコートの酸化タングステン(可視光応答型光触媒)に可視光が当たると活性酸素※1が発生して、ウイルスの外側の構造を構成するたんぱく質を破壊し、不活化※2します。
光触媒は光が当たると何度でも同じ化学反応を繰り返すため、表面が削れたり、はがれたりしない限り効果が持続します。
従来の酸化チタンによる光触媒ですと、紫外線のみまたは、可視光応答型光触媒であっても紫外線にきわめて近い領域の光でのみ光触媒反応をおこすため、LED照明やUVカットの窓ガラスなどを使用した現代の室内環境では不向きです。
メディカルナノコートは、500Lux以下の室内環境でもコンスタントに効果を発揮する酸化タングステンを配合しており、さらに全くの暗所でもプラチナ、セレン、モリブデン等の抗菌機能により効果を発揮します。
※1:活性酸素は有機物を酸化分解する性質があります。ウイルスのタンパク質も有機物ですので酸化分解されます。
※2:「不活化」とは、ウイルスや細菌が活動を停止し感染性をなくすことです。
ナノテクノロジーによる独自の薄膜技術
メディカルナノコートは、配合された材料すべてがシングルナノサイズ(粒径10ナノメートル未満)に加工されています。これらの機能性無機粒子を均一に分散し薄膜で密着させる独自技術により、同じくナノサイズのウイルスや細菌との接触効率が上がり、高い抗ウイルス効果を実現しています。
シングルナノであることで、物の表面の微細な凹凸に入り込み密着力が高まります(アンカー効果)。さらに、すべての材料がシングルナノサイズであることから分子間引力による密着性の強化が得られます。
また、通常の抗ウイルスコーティングは吸着性が高いことから、ホコリやチリ、ウイルスや細菌を引き寄せやすいという欠点がありますが、帯電防止成分や導電性を上げる成分を配合し、チリやホコリ、ウイルス・細菌を付着しづらくしています。さらに、コーティングの持つ優れた親水性により、汚れが落としやすく、水滴が乾きやすいという特徴があります。
メディカルナノコートは独自の成膜技術による複合機能でワンランク上の清潔な空間を作りだします。
開発の軌跡
光触媒の原理を抗ウイルスコーティングに応用する
日本が中心となって牽引してきた光触媒技術は、光が当たると「有機物を分解する」「親水性により汚れがつきにくく落ちやすい」「光と水があれば同じ化学反応を半永久的に繰り返す」という性質から、当初最も実用化されていたのは、外壁の防汚用途でした。
わたしたちは、この光触媒の「有機物を分解する」性質を室内で、抗ウイルス・抗菌加工に応用できるのではないか、という出発点から抗ウイルスコーティングの開発に着手しました。
ウイルス破壊のメカニズム
- 光触媒物質である酸化タングステンに可視光(目に見える光)があたると電子と正孔が発生。
- 空気中の酸素と電子が、水と正孔がそれぞれ反応し、酸化タングステン表面に スーパーオキサイドアニオンラジ カル、水酸化物ラジカルという分解力をもつ、2 種類の活 性酸素を発生させる。 この活性酸素に有機物を酸化分解する効果があり、有機物(タンパク質)で出来たウイルスや細菌の外部構造を破棄することにより不活化する。この酸化分解作用はホルムアルデヒドや臭いの分解にも効果を発揮する。
防汚(セルフクリーニング)のメカニズム
- 酸素と水が反応した結果、酸化タングステン表面に、水とのなじみが非常に良い–OH(親水基)ができる。
-OH(親水基)ができた表面は水に濡れやすくなるため、 水が汚れの下に入り込み、汚れが浮き上がることによって、 流れ落ちやすくなる。またガラスなどの表面を親水化することで、水分がごく薄く広がり、曇り止め効果が得られる。
優れた意匠性と無機バインダによる劣化の防止
これまでの光触媒コーティングは有機バインダーを使用することで、光触媒の酸化分解作用によって、黄変やひび割れを引き起こし、後で大きな問題となる事例が多く見られました。また、ノーバインダー(バインダー無し)の製品では対象物に分解作用を起こす光触媒を直接塗布するので、素材自体の劣化を引き起こす懸念がありました。
メディカルナノコートは、独自の無機バインダーが、密着成分としてガラス膜を形成し素材を保護します。また、液剤自体が無色透明ですので酸化チタンと比較して着色も起こらず、意匠性を気にするインテリア製品などにも使用が可能になりました。